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間取りの事例 008

やまぐち空間計画

間取りを語るシリーズ、第8回目です。今回はおそらく私が今までつくった中でも五指に入る「小さな家」をご紹介いたしましょう。

敷地面積21坪ほど、家の延床面積19坪ほど。延床が20坪を切るとなるとかなり面積的にはしんどい感じがありますが、このお宅の場合はこれで充分なんです。なぜなら、こちらは「おひとりさまの家」だから。

一人で住む戸建注文住宅、皆さんはどのようなご感想をおもちになるでしょうか。マンションではあたり前でも、戸建では珍しい部類かもしれませんね。もちろん住まいのあり方は本当に様々ですし、それは住まい手の考え方次第であります。

でも、逆にこういう規模の戸建住宅は「建売り」では存在しにくいものでしょうから、そういう住み方をご希望の方は注文住宅を選ぶしか方法が無さそう。それが現代日本の住宅事情なんだなあ、とも感じます。

さて、間取りの方のお話に進みましょう。ここは東西に長い敷地で西側が道路。南側には同じ2階建てが近接していて、それに比べると東側は割に開けている土地でした。そこに確保すべきは家と駐車場を1台分。

真南に立ちふさがるように隣家があるので、ここは「東西に開いた家」にするというのが私の当初からの思惑。そして2階にLDK(憩いの間)を設けて屋根なり勾配天井の開放的な空間をつくることを試みました。

間取りの構成は1階に玄関、水廻りとゲストルーム的な予備室。2階にLDKと寝室を兼ねた和室があり、この2室が建具の開閉でワンルームとなって東にも西にも掃出窓で開くという感じです。

敷地が小さいので、駐車場をしっかりとると、その奥だけでは建物が入り切らない。2階リビングにしたのはそれも理由のひとつで、1階は車の奥が凹んだ形とし、2階の方が床面積が多くなります。そして車の上には和室から続く広いバルコニーデッキが。

2階の和室にはちょっと変わった収納がありますよ。お手持ちのタンスを見せずに仕舞う納戸と、その横にある布団収納が一体になったもの。こういう奥行の方が長い押入はあまり見ない形だと思いますが、これは空間活用の効率化を目指したもの。

お布団を仕舞うときは普通は3枚折りにしますね。建売などでは間口も奥行も半間(91cm)の収納をよく見ますが、ここに3枚折にした布団を入れると真っ直ぐには入りません。幅が足りないので真ん中がたわむ形でしか入らない。

といって間口が一間(182cm)あっても、引違いの襖が開くのは最大で半間ですから、やっぱり入れるときには真ん中をたわませないと幅が通らない。これは江戸時代に比べ布団が大きくなったことと、家の寸法体系が小さくなったことで生じている結構大きな問題です。

なので私が布団の収納をつくる時には、半間よりも少し大きめの幅にして、入れやすいようにその全部が開く建具(折れ戸など)を設けることが多い。でもこの家ではその余裕がなく、ならばと「3枚折の布団を縦に入れる」ようにしたんです。

以前も書きましたが、注文住宅なのだから入れるモノに合わせた収納をつくるべきであって、布団は引違い襖の押入に、といった固定観念は全く不要のものです。この家でもダイニングテーブル横の手持ち食器棚を嵌め込む場所や、1階予備室横の両面収納などはそうした例ですね。

次に2階LDK(憩いの間)を見ていただくと、階段のところと冷蔵庫横の収納のところに「上部高窓」と書いてありますね。これはちょっとでも高い場所から採光を得ようという工夫。この両側の高窓は屋根の棟に近い場所にあって、いわば3階の高さの窓なんです。

この敷地の南側隣家は建売住宅で、同じく東西に長い長方形の間取り。そういう時はほとんど、棟も東西にあって北と南に流れる切妻の屋根になります。即ち西側道路から見た時に五角形の「家型」になる形。

しかしこの家は東西の長い方に流れる屋根をもち、即ち南側隣家よりも棟の位置が高い。隣の家の屋根の上から明かりを取るための窓は、屋根なり勾配天井の空間だからこそ意味をもつもの。3次元で考えられた仕掛けです。

それから、1階のトイレ入口のことを。ちょっと変わった建具が描いてあります。これは折れ戸の一種で、片側のヒンジ(丁番)からドア幅1/3くらいのところで折れるドア。そうすると室内側への出っ張りも少なく、外側への出っ張りも少なくて済みます。

本当は部屋の入口はすべて引戸にしたいのですが、でもこのトイレのように間取り上それが難しいときもあります。しかしドアは開閉が危ないのでなるべく避けたい、開閉時の出っ張りを小さくし危険を減らしたい、という思いからよく使う建具です。

最後に、この業界でよく言われることを書いて終わりにしましょう。それは「家の対角線がわかる家は、面積以上に広く感じられる」ということ。この2階の和室を開け放った時、薪ストーブのある家の角と和室の角を結ぶ対角線がわかりますね。

床面積20坪を切るような住まいでも、いくらでも広く感じさせることは出来ます。そうした細やかな工夫の積み重ねで、小さい家が広く感じられ使い勝手も向上する。その工夫をこそ「設計」というのではないでしょうか。

※私のブログには他の間取り事例も多々ございます。やまぐち空間計画WEBサイトにて、是非ご覧くださいませ。

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カテゴリ 戸建て 戸建てタイプ 2階
テイスト 和モダン 建物概算予算 その他
建築工法 木造軸組工法 間取り 2K 2DK 2LDK
延床面積 50〜100㎡未満 敷地面積 50〜100㎡未満
特徴 暖炉・薪ストーブ リビング階段 その他

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